<前回から続く>
本シリーズでは、運動親和性ゼロの人間が運動(ジョギング)習慣を身に着けるためにどうしたか、というのを書いている。
今回は、急に思い立ってジョギングを始めてしまったときの私の体験談を書いて、自分が得た教訓をお伝えしたい。
ジョギングを開始したときのこと
私は、2018年の4月ごろにジョギングの取組を開始した。
自宅の近くの遊歩道を1回30分、距離にして約4km走るというものだ。
スピードとしては時速8km程度ということになるだろう。
効果的な有酸素運動の目安は、「会話ができる程度」とよく言われる。
私にとっては、時速8kmでの走行なら、息は上がるが、会話ができないわけではない。
ハアハア言いながら疾走している感じにはならない。
ジョギングをやってみようと思った当初、自分はどれだけできるものなんだろうかと、試しに近所の運河沿いの遊歩道を走ってみた。
本っっっ当にキツかった。
まとまった距離を走るなんて経験を何年もやってなかったのである。
遊歩道の端っこまで行って、同じ道を戻ってこようとしたが、途中までしか走れなかった。
3kmくらい走っただろうか。
もう、「死力を尽くした」みたいな気持ちだった。
おそろしい疲労とともに体を引きずるように帰宅しながら、
「死ぬかと思った」
「1年分の運動をした」
「もう今月は一切体を動かしたくない」
と思った。
数日後、もう一度走りに出かけてみた。
前より少しラクに感じられた。
その時は最後まで走ることができた。
もしかしたら、明日も走れるかもしれない、という気持ちになった。
毎日やった結果
それから毎日走った。
毎日走ろう、と決めてからは、欠かさず走ることにした。
天気が悪い日や、いつもより遅くなってしまった日など、日によって事情はさまざまであり、「今日はやめようか」と思うことも多かったが、休む日を作ったら負けのような気がして、必ず走ることにした。
2週間くらい続けると、状況が変わってきた。
明らかに、走る体力がついた、と思った。
初めて走ったときあんなにキツかったのに、ずいぶん楽になった。日によってはとてもコンディションがよくて、スイスイ走れる。いやそれどころか、スピードアップできそうな気さえした。
体が軽くなったように思った。
ある日、4km走り終えても疲れておらず、「まだまだ行ける」という感覚があって、私は遊歩道をさらに反対側まで走って戻り、合計6km走った。それでも苦しくなかった。
「体が変わった」という感覚は、私に喜びとモチベーションをもたらした。
あんなに運動ダメダメだった自分なのに、走ることができるようになったのだ。
やればできるんだ。
そう思うと嬉しかった。
私はますます熱心に取り組んだ。
ある時、今度は、6km走り終えてもまだまだ元気がありあまっていて、私はさらに走り続け、ついに10㎞走った。
「10km走れた!」と私は感動した。大げさでなく感動したのだ。
小学生のころ、マラソン大会で5km走ることが地獄の苦行のように思えていた自分が。
趣味でマラソンを走る人を見て、「いや10kmだって命がけだよ」と思っていた自分が。
スイスイと10km走れたのだ。なんということだろう。訓練ってすごい。体は変わるんだ。
そしてうっかり、調子に乗る
なんだか浮かれてしまい、たくさん走った。距離をのばし、日によっては朝走って、夕方また走りに行って、なんてことをやったりした。
苦しいとは感じていなかった。
しかし、体力的には走れても、体のパーツはそれに対応していなかった。
調子に乗って距離を増やした結果、足に痛みが出た。おまけに、指先からは出血した(これは後述のシューズが原因)。
緩やかなペースのジョギングであっても、走ることは、想像以上に足に負担をかけるのだ。
走っている時にはそれを実感はしない。でも、ロクに運動もしたことのない身である。足の骨も筋肉も、その仕様になっていなかったのだ。
足を痛めた時点で、当然、一度運動をやめるべきだった。
でも私は、せっかく継続してきたことがここで途切れてしまい、努力が水の泡になるような気がして、やめられなかった。
湿布で痛みを抑えながら走り続けた。
さすがに距離は元に戻したが、休むことはなかった。
本来はよくない対応だっただろう。結果的に、使っているうちに痛みは治まって、病院に行く必要もなかったのだが、症状がもっと悪化していた可能性もある。
※余談だが、それから数年後、私は膝を痛めて整形外科に行き、半月板が損傷していることが判明して膝の手術を受けた。ある日立ち上がったときにひねるような感じがして、それ以降、膝が痛むようになったのである。検査してみると、もともと半月板が円板状になっているという異常があったようで、損傷しやすい状態だった。ジョギングを始めたことと半月板損傷との関係は不明であるが、無理をしたことの影響がなかったと言い切れるものでもない。
これは、初心者がやりがちな失敗なのだと思う。
ほとんど運動もしたことのない人間の筋肉や骨格というのは、それ相応のものでしかないのである。
一見、順調に動いているからといって、決して酷使してはいけない。
自分の能力を過大評価せず、体への負荷には抑制的であるべきだ。
でなければ、健康のためにやっている運動が、かえって体を害してしまう。
習慣化のための無理はするが、運動強度の面では無理をしてはいけない。
私が得たのはそういう教訓である。
習慣化には成功した
足を痛めたことで、無理はすべきでないということを痛感し、距離としては「平日4km、休日6km」に落ち着いた。
速度は上げず、時速8km目安のままである。
はじめの1ヶ月を乗り切れば、その後は、「せっかく続けてきたことをここで途切れさせたくない」という気持ちが強く働くので、その勢いで走り続けることができる。
開始してから約1年ほど、「毎日走る」というのを基本にジョギングを続けることができた。
1年続ければ、もう立派な習慣だ。
そのあと、仕事の異動やら、保育園の事情やら、身辺に変化もあって、毎日走りに行くことは難しくなった。
それでも、週のうち数日はジョギングに行った。
いったん習慣化できれば、「時間を作れる日は走りに行く」というのが、自然にできるようになる。
毎回毎回、「今日はどうしよう、やるか、やらないか・・・」と考え込む必要はない。時間が捻出できれば自動的にジョギングに出発する行動を取れる。
これが、習慣化の成果だ。
<次回へ続く>


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