【体験記】41歳にして大腸カメラ初体験となった話②~検査実録~

ユル風味の話題

の記事から続く>

前の記事に書いた事情によって、「いつかは対峙しなければならない」と思っていた大腸カメラ検査を、
突然の運命で強制的に受診することになった。

「検査受けてください」と言われたその日から、わずか2日後。
私はさっさと検査当日を迎えてしまった。

——さあ、決戦の日だ。
奇しくもその日は、ワールドカップ日本代表のグループリーグ3戦目、スウェーデン戦の日であった。
私も、ともに戦うぞ、森保ジャパン。

ひとことで言うと…

最初に、端的な感想を述べておこう。

検査の苦痛という意味だけなら、
大腸カメラ<胃カメラ
だと思った。

吐き気や喉の異物感に苦しむ胃カメラと比べれば、大腸カメラにはさほど大きな身体的苦痛はなかった。
少々痛い場面はあるのだが、ずっと続くことはなく、その場面を乗り切れば余裕が持てた。
一方で、準備に時間がかかるので、それが非常にダルかった。
多忙な日々の中、なんでウ〇コの浄化のために私は何時間も費やしてるんだ?という気持ちになったりして、
精神的な戦いが生じるのである。

以下は検査当日のレポートだが、当然、人によって、あるいは病院によって具体的な検査プロセスは異なるだろうし、感じ方も人それぞれだと思うので、あくまで筆者の個人的な体験である。

いざ、キックオフ

検査当日の朝も、水分摂取には制限がなく、水かお茶なら、自由に摂取することができる。
8時にサッカー日本代表がキックオフしたのを横目に、私は病院に出発した。

9時前。ドキドキしながら内視鏡室に到着した。

最初に問診票のようなものを記載するよう言われた。
質問の中に、
「ポリープを切除した場合、入院が必要になることがあります。入院できますか
などというものがあり、いきなり面食らってしまう。
入院の準備なんかしてないし、今日も夕方になればフツーに子ども迎えに行ってご飯を食べさせなきゃならないのに、急にそんなこと言われても困る。
聞いてみると、入院が必要になるケースはごくまれであり、普通はそのまま帰れるという。一安心である。

大腸カメラ検査では、検査実施前に数時間かけて下剤を服用し、大腸の中をすっかりきれいにするというプロセスが必要である。
そのため、私の場合、病院には9時前に行ったものの、検査そのものは午後1時ごろからの実施になった。
1日仕事なのである。
このへんも検査のハードルが高い要因だろう。

看護師さんがやってきて、下剤の飲み方を説明してくれる。
テーブルには、何やら液体の入った巨大なパウチのようなものが置かれており、その横にコップが添えられていた。

噂に聞く下剤がこれ。人間の飲みものという感じはしない外観

これが噂に聞く下剤ってやつか・・・と私は思った。
「モビプレップ」という薬品名が書かれている。

ずいぶん、イカつい名前だな・・・

なんというか・・・ボブ・サップが考えたマッチョな筋トレの名前、のような感じ・・・?

そんなバカバカしいことを考えながら大量の下剤を見つめる。

たとえて言うなら、「アタックゼロ」(液体衣類洗剤)の大容量詰め替えパックみたいな外観である。
これ飲むのか・・・と思うとゲンナリだ。

ところで、この病院では、検査を実施する部屋の横に待合室のようなところがあり、
大腸カメラを受ける患者はその待合室で席について、下剤を服用する。
他にも患者さんがいる中で、そのプロセスをこなさなければいけないので、人によってはプライバシーが気になるかもしれないと感じた。
家で下剤を服用するやり方をしている病院もあるようだから、事前準備プロセスが気になる人は、そのへんも考慮して病院を選んだ方がよいと思う。

「モビプレップ」と試合開始

検査準備(下剤服用)の具体的な手順はこうだ。
 ①モビプレップ(以下「モビ薬」と略す)を10~15分かけて180ml飲む。
 ②再びモビ薬を10~15分かけて180ml飲む。
 ③水かお茶を10~15分かけて180ml飲む。

①~③のプロセスを少なくとも3回は繰り返す。つまり最低で1620mlは飲むわけだ。
その量で「仕上がった」(注:看護師さんが使った用語である。これがまたイカつい・・・)場合は、そこで下剤は終わり。
まだ腸内がきれいにならない場合、①~③のプロセスをさらに続ける。
最大2ℓのモビ薬(水分とあわせて3ℓ)を飲まなければならない。

要するに、ケツから出るものに固形分が一切なくなって透明になるまで、服用を続ける必要があるということである。
異様に生々しい対比画像のシートを渡され、「この状態はまだダメ」「こうなったらOK!」という見本写真が載っているのだが・・・なんとも食欲のなくなる話である。
最終的に透明になった際の状態は看護師さんに確認してもらう必要があるらしく、それもなかなか強烈だなと思った。
すみません、私のウ〇コ見てもらえます?」ってことなのである…。

意を決して最初の一杯を口に運んだ。
こういう検査用の飲み物というのは、例外なく、激マズである。

味は覚悟していたが、想定ほどひどくはなかった。
梅味である。ちょっと塩味が効いている。
最大限、前向きに捉えれば、「スポーツドリンクみたいな味」といえなくもない。
最大2ℓ飲まないといけない以上、一応人間の飲み物と思える味に加工する努力が尽くされているのだろう。

戦いは続く。しかし何も起こらない

看護師さんは気を利かせて、待合室のテレビをつけてくれた。
我らが森保ジャパンの戦いが目に飛び込んできた。

よし、私も戦おう。・・・相手がなんだかよくわからないけど。
日本先制。同室でテレビ観戦している別の患者のオッチャンAが喜びの声を上げている。

モビ薬は、一気飲みした方が味を感じずに楽だと思うのだが、少しずつ飲むよう指示されているので、目をつぶって飲み干すわけにもいかない。毎回、梅味を舌に感じながら飲み進めていく。

先制したと思ったのもつかの間。スウェーデンからすぐに1点を返された。
同室で検査準備に取り組むオッチャンBは、しきりに席を立っている。どうやら順調にトイレに通っているようだ。
前述の通り、そのへんの事情が周辺のほかの人に筒抜けになってしまうので、デリケートな人はとても気になるのではないかと思った。
もっとプライバシーへの配慮に力を入れている病院もあると思うので、「あ、あの人ウ○コ行ってるわ~」とか絶対他人に思われたくないという人は、気をつけた方がいい。

私は実を言うとワールドカップの試合にはあまり熱が入ってなかったのだが、本田さんの解説は面白い。アディショナルタイム長い!こんなにいらん!と叫んでいる。
ちょっと盛り上がりに欠けたまま、10時頃に引き分けで試合は終わってしまう。
長友がマンマミーア!と言っている間にも、私の戦いは淡々と続いていた。何も起こらないのであった。

おっちゃんBと違い、私はまったくトイレに用がないまま、モビ薬の3サイクルを終えてしまった。
残念ながら4サイクル目に突入だ。水分取り過ぎでお腹ばかり膨れてくる。

こんな感じで記録をつけながら飲み進める

時間がかかることはわかっていたので、ゆっくり本でも読むかと思っていたものの、時間を見たり薬の分量をチェックしたり、気にすることが多いので、実際には読書に集中するような環境ではない。

モビ薬は極端にまずくはないものの、たくさん飲んでいるとさすがに味にも嫌気が差してきて、
だんだん口に運ぶ動作が進まなくなってくる。
1杯飲み終わり、次は水だっけ?あ、いやもう1杯モビ薬だった・・・ガッカリ。そして、普通の水、おいしいなあ。となる。

サッカーは終わったが、私の戦いはこれから本番

結局、私は昼近くまで下剤服用を続け、OKが出た頃には正午になっていた。
服用したモビ薬は総量1800ml、水は900mlである。
まだ検査なんか何もしてないのに、なんだか妙に疲れてゲンナリしている。

そこからまだしばらく待つこと数十分。
呼ばれて更衣室に案内され、紙パンツを渡される。
噂に聞いていた、お尻に穴あき仕様のやつだ。
下着のパンツというよりハーフパンツみたいな形で、シッポ出せそうだなとか思う。

パンツと言っても、ハーフパンツみたいな形のやつ。色も紺色

着替えたら、ベッドのある処置室に呼ばれて、あとはもう「まな板の上のコイ」(内科医の言葉)である。

検査に際して、腸の動きを止める薬と、痛み止めを点滴します、と説明されていた。
痛み止めは「ちょっとぼーっとする」と聞いていたので、ぼーっとしているうちに終わればいいな…と願っていた。
しかし、残念ながら、まったくぼーっとしなかった。完全にいつもと同じだった。
痛みが和らいでいたとも思えない。

担当してくれたのは、ベテランらしい男性医師だった。
女性医師じゃないと耐えられない・・・と思うデリケートな人は、ちゃんとそういう病院を選ぶよう気をつけよう。
医師によれば、「胃カメラと大腸カメラを同時にやった人のうち8割くらいは、大腸のほうが楽だっていいます」とのことである。
前述の通り、これは私の実感とも合っている。

「痛かったら痛いって言ってください」「空気を入れるので、おなかが膨れてきます。我慢しないでオナラしてくださいね」などと医師が話してくれているうちに、いつの間にか始まっていた。

想定ほどの強敵ではなかった

胃カメラの時は、私はひたすら苦行に耐えるべく目をつぶっており、画面を見る余裕などはないのだが、大腸カメラでは画面を見ることができた

「途中で5箇所くらい、曲がっているところがあります。そこを通るときに押される感じがします」と説明された。
実際、最初はなんともなかったのだが、曲がってるポイントを通過していると思われる場所では、何度か痛みが走った。
私は全然遠慮もせず、痛いときには「痛いです痛いです!!」と主張した。
すると医師は調整しながらカメラを進めてくれたので、痛みがずっと続くことはなかった。
そして、いったん奥まで通ると、もう全然苦痛はなく、モニターを見ながら普通に会話できる状況だった。

奥まで来た段階で、「大きながんや腫瘍はなかったので、戻りながら、小さいのを探していきます」と教えてもらう。
戻るときには、いい感じに空気が入っているせいなのか、まったく痛みはなく、何も感じないのが不思議だった。

そして、途中で小さなポリープが見つかり、その場で切除の処置を受けた。

実にすみやかに、いつのまにか、わっか状の器具がモニターに出てきて、それをポリープに引っかけたかと思うと、ヒョイっとわっかを閉じて、ポリープはちぎれた。それで終わり。
切除しても何も感じない。
外見上、良性のものだが、念のため検査に出すという。

ポリープを切除したので、感染防止のために点滴をしなくてはならない。それがまた1時間近くかかった。
そのまま寝台に寝て点滴を続けてもらった。

戦いの後、宴はNG

点滴の終了後、特に具合も悪くなく、病院を出たのは午後3時くらいだった。
やっぱり一日仕事になってしまった。

帰る前に、今後の注意点の説明を受けた。
ポリープを切除しているので、今後1週間は、激しい運動禁止アルコール禁止、そして刺激物繊維質のものも避けてください、という話だった。

推奨される食事が記載された資料を渡され、それによれば、当日はまずスープとかおかゆみたいなものから食べ始め、翌日から少しずつ消化にいいものを食べ始めるのがいいという。
えー、やっと検査が終わったら、またもや「アレもダメこれもダメ」なの?
戦いを終えたお祝いにビール、とはいかないのだ。

…しかし、正直に白状しよう。私はこれら注意事項の通りに行動できる模範患者ではなかった。

病院から帰宅し、家について一息入れると、とにかくお腹が空いていた
なにしろ、昨日もあまり食べず、今日は絶食。無性に何か食べたくて耐えられなかった。
まずはプロテインをシェイクしてグビグビ飲んだ。チョコ味うますぎる。
しかし空腹は収まらない。
おかゆ食べろとか言われてたけど無理。そんなん作ってられるか。お腹空いて仕方ない
クラッカーを出してムシャムシャ食べてしまった。そしてサラダチキンもムシャムシャ食べた。
マジでダメな患者である。
いや、だって、お腹空きすぎてもう無理
注意事項を忠実に守っていたら、3日間くらいおかゆ生活になってしまう。

疑惑の行方

結局、私のガン疑惑は、どうだったのか。

実のところ、未だにわからない。

大腸カメラで、がんは見つからなかった。
1週間後、検査結果を聞きに行ったら、ポリープも良性だったことがわかった。
まあ、無罪放免である。

しかし、腫瘍マーカーが高かったという事実は変わらない。それがどういう理由によるものかは、不明なままだ。

3ヶ月後に再び血液検査をするということで、現状は様子見となった。
やるべきことはやったし、これ以上考えても仕方がないので、3ヶ月間は忘れていよう、と思っている。

しかし、ポリープが発見できて、切除してもらったことはよかった。
ポリープは5㎜を超えるとガンになる可能性が出てくる、と医師は言っていた。
少なくとも今この瞬間、大腸にガンもなければポリープもない状態になっているわけで、しばらくは(大腸がんに関しては)安心して過ごすことができる。

大腸カメラをやるべきか、やらざるべきか

初の大腸カメラ経験を経てわかったことは、「思ったほど苦痛のない検査だった」ということだ。
時間がかかって準備がダルいということを除けば、検査自体はイメージよりもずっと楽だと思った。
時間さえとれれば、定期的に受けてもよいと思っている。

もっとも、何を嫌だと思うかは人によるだろう。
私は、「痛いのとか苦しいのが嫌」という考えなので、「恥ずかしいから嫌だ」という感覚はないが、場所が場所だけに、デリケートに考える人もいるだろう。そういう人は事前によく調べて、自分に合う体制の病院を選んだ方がいい。
また、私の行った病院では対応していなかったが、「鎮静剤でウトウトしている間に終わる」というのをアピールしているクリニックもあるから、恐怖感が強い人はそれを選んだ方がいいかもしれない。

大腸がんは近年増加傾向にあるといわれるが、一方で、初期段階で発見すれば、完治が見込める場合が多いとされる。
大腸カメラはガンだけでなく、そのもとになるポリープも発見して早い段階で切除できるので、大腸がん予防には非常に有効である。

とはいえ、私は本稿を「みなさんもぜひ大腸カメラ受けましょう!」というメッセージで締めくくるのはためらっている。
私は別にその業界の回し者ではない。
ポリープを発見して切除したことは安心だが、それをしなかったらガンになっていたのかは、誰にもわからない。
検査というのは、もちろん、やればやるだけ安心ではあるのだろうが、無際限にやればきりがない。
何事にも費用対効果というのがある。

会社や自治体が社員や住民を対象に実施している大腸がん検診は「便潜血検査」であり、
これは公的費用によってまかなわれるが、大腸カメラは自費である。

今回、私が検査を受けたのは、腫瘍マーカーが高かったという指摘によるものであり、保険適用の検査だったが、費用はポリープ切除とあわせて2万円かかった。決して少なくない出費である。
人間ドックのオプションなどで受けようとすると、それよりさらに高額になることが多いだろう。
もちろん、「それで大腸ガンにならないなら安いものだ」という考え方もある。

当然ながら、健康診断の便潜血検査に引っかかったとか、何らかの自覚症状があるという人は、すみやかに大腸カメラを受けたほうがよい。
検査の困難さがハードルになるなら、「そんなに大変じゃないよ」というのが私の感想だ。

一方、特段の症状もない段階で、大腸カメラを受けることの費用対効果がどの程度なのかは、医療の専門知識がない私にはなんとも言えない。
自分が思ったのは、「これは安心料と考えればいいのではないか」ということである。
「一度も受けたことがない」状態に比べると、「こないだ一度受けた」(そして何もなかった、あるいはポリープを取った)という状態の安心感は格別である。

多少、高くついても、その安心を得たいと思う人には、大腸カメラは実にオススメできる検査だと思う。

私の体験記は以上である。
皆さん、お互い、健康で生きていきたいですね。

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