日本で一番「おみやげ」が豊富な都道府県は絶対、北海道である。みんな異論はないものと信じている。
もちろん海産物や乳製品も魅力的なのだが、仮にお菓子だけに絞っても、みんなが思いつく定番品がたくさんあるはずだ。白い恋人、六花亭、ロイズ・・・ああ、一体どうしてそうなの。いつもお菓子を我慢しているのに、みんなして私を悪い道に誘うのね。
新千歳空港に行ったら、スーツケース1個分おみやげのお菓子を買い込みたくなるのは私だけではないと信じている。
そんな北海道みやげの中から、今回はどうしても最優先で取り上げておきたいものがある。
北菓楼の「開拓おかき」である。
数ある北海道みやげの中でも、その邪悪さは群を抜いていると思っている。
私はこの商品の邪悪さを熟知しているので、ここ数年、入手を強く自粛していたのだが、
先般、北海道に行ったとき(この記事を参照)に、誘惑に負けて思わず購入してしまった。
まあ要するに、めちゃくちゃウマいおかきなのであるが、
複数の特徴によって、単に「おいしい」という平和な感想を超えて、悪魔的とも言える破壊力を獲得しているのだ。

開拓おかきを知ったのは、もう10年以上前。
職場の同僚(道民)の人が教えてくれたのである。
「すごくおいしいおかきなんですよ」「種類も色々あって楽しいんです」といって、出張のお土産にくれた。
今思えば、彼は悪魔の手先に違いない・・・。
開拓おかきは、北海道各地の海産物を素材に使った、いろんなフレーバーがあることが特徴だ。
「枝幸帆立」とか、「函館いか」とか、「えりも昆布」とか。
その時もらったおかきが何味だったかはもう忘れたが、確かにメチャクチャおいしかった。
「おかき」なんて聞くと、目新しくもないし、並み居るスイーツのお土産がある北海道で、あえて「おかき?」とか思っていた私は、悪の勢力への耐性が全然なかったというべきである。
食べてみると、ただのおかきなのに、メッチャうまいのである。
「何だこれウマいな」とか言いながら、次々と食べる。
袋の中にはぎっしりおかきが詰まっているので、一度に全部食べるつもりなんかなかったのだが、
絶妙な味付けに、手が止まらない。
どこかで聞いたフレーズ「やめられない、とまらない」そのものである。

「もう一個だけ」とか言いながら食べているうちに、何やら袋がもうしぼんでいる。

………アレ??
袋の中身がほとんどなくなってしまった頃に、ようやく我に返る。

なんか………なくなってない?
あの大量に詰まっていたおかきをほとんど全部食べてしまった、ということに気がついて、
ショックのあまり呆然となる。
そして袋の裏にある「100g529kcal」などという表記を見て、もはや気が遠くなりそうな気分である。
この袋は170g入りだから、仮に全部食べてしまったとすれば、え、え、えーっと…((((;゚Д゚))))
なんといっても、「健康」とか「肥満」とかいう面から見れば、おかきというのは、糖質と油の塊なのだ。

な、な…
なんということをしてしまったんだ………!!!
すさまじい罪悪感と後悔でしばらく立ち直れない精神状態である。
ポテチをつい一袋平らげてしまって激しく後悔したことがあるような人なら、きっとこの気持ちをお分かりだろう。
しかし、そのおいしさは忘れがたい。「他の味も食べてみたいな・・・」なんてことになる。
そして次に自分が北海道へ出張に行ったときには、もうすっかり悪魔の罠にかかっている。
「あれもこれも」といって、何種類も開拓おかきを買ってくる。
「増毛甘エビなんてメッチャおいしそうじゃん!」「いやでも定番の帆立は外せないな」「せっかく来たついでだし、白糠のタコなんてのも・・・」
やたらに買い込んで飛行機に乗る。ただのカモである。
そして、それぞれのおかきを開封したときには、毎回同じ展開に陥るのである。

お分かりいただけただろうか?開拓おかきがどんなに危険・邪悪な食べ物であるかを・・・
その味を知ってしまったが最後、
「食べたくなる」⇒「買ってくる」⇒「意思に反して食べすぎる」⇒「猛烈に後悔」
の無限ループである。何これ、麻薬じゃない??
「開拓おかき」が、ただのおかきとは違っていると思う「悪魔的なポイント」を以下に挙げておこう。
〇ウマすぎる
これがもちろん一番大きいのである。
公式の説明によれば、「北海道開拓おかきは、米とぎから、蒸し、餅つき、熟成、乾燥、油揚げ、味付けまでの工程で実に7日間もの日数を要し、一粒一粒丁寧に作られています」だそうだ。
そこへ北海道の帆立だのイカだの、ウマいに決まっている。
〇個包装されてない大袋である
開拓おかきは、170gの量が全部、縦長の袋にギッシリ詰め込まれている。
個包装になっていれば、一袋で区切りが付いてやめられるのだが、
開拓おかきは、開封したが最後、手が止まらなくなるという作りである。
※今回調べていて、小さめの袋の詰め合わせもあることを知った。次はこれを買おうと固く決意している。
〇味が複数ある
一体誰がこんな邪悪な仕様を考えたのだろうか。
見るからにおいしそうな種類がたくさん揃っている。
レギュラー商品だけでも5種類くらいあるのに、期間限定品も複数出ている。
売り場にこれが並んでいたら、絶対食べ比べてみたくなり、誰だって何個も買わずにはいられなくなるではないか?おそるべき販売戦略である。
〇オツマミが入っている
これが開拓おかきの最大の特徴だと思うのだが、
開拓おかきには、おかき本体に混じって、海産物の実物を乾燥させたオツマミのようなものが入っている。
キャラメルコーンのピーナッツみたいな感じで時々混じっているのだ。

これ自体が非常においしくて、しかも味のアクセントになるので、飽きずに延々と食べられるのである。
そして、オツマミの味わいに魅了され、「次にホタテが出てくるまで食べよう」なんて考えてしまったりする。
こうして中毒患者みたいなのができあがる。
お菓子というのは、「食べるとおいしくて、幸せを感じるが、食べすぎれば健康リスクを生じる」というジレンマを抱える存在である。
開拓おかきは、そんなジレンマに対応する我々の自制心を厳しく試してくるようなお菓子である。
そう・・・まるで、荒野で修行する聖アントニウスを誘惑せんとして次々と現れる異形の悪魔たちのように。

しかし、聖人でもなんでもない私は、到底この邪悪な誘惑に打ち勝つことができない。
今回もまた夜中につい「枝幸帆立」のおかきをムシャムシャ食べてしまった私はこう思う。
もはや私が救済される道は、開拓おかきを販売禁止にしてもらうことしかないのではないか・・・、
すでに開拓おかきを知っている人へ。
我々は悪魔からの試練にさらされているのだ。あまりにウマすぎるおかき。永遠に食べ続けたい欲望。問われる自制心。
ああ、まさに「試される大地、北海道」。
まだ開拓おかきを知らない人へ。私はあなたを悪魔の道に誘いたくない。
でも、いつかあなたも開拓おかきの邪悪な魔の手に捕まる日が来たら・・・
私からせめて助言できることは、これくらいだ。「なるべく複数人で食べよう」。
決して夜中に一人で開けてはいけない。人々が寝静まった夜に、悪魔たちはやってくる・・・
もうあなたはその魔の手から逃れることができない。うっかり深夜番組を見ながら、スマホを眺めながら開封してしまったその先には、絶叫必至の後悔が待っている・・・
試されるお菓子、開拓おかき。



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