関東あたりに住んでいて子どもをお持ちの方なら、「軽井沢おもちゃ王国」という施設のことを聞いたことがあるのではないかと思う。
軽井沢という名前を冠しているが、所在地としては群馬県嬬恋村にあたる。
場所を説明するなら、浅間山麓が広がる群馬・長野県境のエリアであり、
軽井沢周辺の観光情報でよく目にする「白糸の滝」などにも近い。
名前から分かるとおり、子ども向けの施設である。
ただ、「おもちゃ」と銘打っていても、典型的な「おもちゃ」つまり室内で手に持って遊ぶような遊び道具だけがあるわけではなく、いわゆる遊園地や屋外アスレチックなども備えた複合的なレジャー施設である。


本稿ではこの施設の紹介をしようと思う。
いちばん伝えたいことは、「マジで子ども吸引機です」ということである。
ネット上で「子どもホイホイ」なんて言葉があるが、まさにそれなのだ。
なお、最初にお断りしておくが、私が利用したのは、後述する「おもちゃパビリオン」だけである。遊園地やアスレチック遊具は利用していないので、それら施設のレビューをお探しの方には申し訳ないがお役に立てないと思う。
ただ、正直、「おもちゃパビリオン」だけで子どもは永遠に遊んでいそうな気がすることは確かである。
「ちょっと寄ってみようか」それは危険な罠
さて、さっそくだが、皆さんが、軽井沢とか、あるいは嬬恋村とか、浅間山麓近辺に旅行しようと思うとき、何を求めてお出かけだろうか?
人によって色々だと思うが、涼しい高原の自然だとか、軽井沢のまちなかのオシャレなカフェだとか、浅間山の雄大な景観とか、あるいはおいしい高原野菜だとか、なんかそんなものだろう。
しかし、「美しい景色」だの「オシャレカフェ」だの「火山・浅間山の成り立ち」だのは、あまり子どもウケがよくない。
子ども連れで旅行を計画しているあなたはそんなとき、浅間山麓に突如出現する「軽井沢おもちゃ王国」なる施設を見かける。
あ、ここもちょっと寄ってみたらいいんじゃない?そしたら子どもも喜ぶし。
とか、安易に思ったりするわけである。
ちょっと待ったァァァ!!それ危険です。
おもちゃ王国に足を踏み入れたが最後、子どもたちはもうおもちゃに夢中である。
まったくその場を動かない。
「もう行くよ!」という親の再三の声がけは無意味である。
このあと、「白糸の滝」に行く予定なのに…。もしくは「鬼押出し園」を見るつもりだったのに…。
などという親の目論見をよそに、子どもたちは目をキラキラさせ、我を忘れて大好きなおもちゃにのめりこんでいる。
そうしているうち、あなたはいつのまにか1日を「おもちゃ王国」で過ごすことになり、この後たどるはずだった旅程がもろくも崩れ去るはめになるかもしれない。あーあ…
だから、おもちゃ王国に行くなら、その日はおもちゃ王国で一日使うという覚悟を持って行かなければならない。
しかし、そこに葛藤が生まれる。
「いや、なんだって軽井沢まで来て、わざわざプラレールで遊ばなきゃならないんだ?」「そのアンパンマンのおもちゃ、家にもあるだろ…」
そう、その通り。いったい何のために旅行に来たのか?親たちは日常の喧噪を離れ上述のような高原の自然などなどを求めてはるばる出かけてきているのである。
一方で、見ろ、子どもたちのあの嬉しそうな顔。大好きなおもちゃに囲まれ、真剣そのものの顔で夢中になって遊んでいる。
最愛の我が子たちがあんなに喜んでいるなら、親としてもそれが何より幸せなことではないか?いやそれはそうなのだが、しかし、何だって休暇にせっかく軽井沢まで来て(以下略)…
おもちゃ王国はそうして、親と子それぞれの気持ちの落差を際立たせ、親に葛藤を強いてくる場所なのである。
というわけで、もしおもちゃ王国に初めて行かれる際は、そこが実に強力な「子ども吸引機」であることを前提に旅程を考えていただきたい。
おもちゃ王国の施設について
おもちゃ王国は前述の通り、おおむね以下のような構成の施設である。
〇室内にたくさんのおもちゃが置かれていて自由に遊べる「おもちゃパビリオン」
〇アトラクション(乗り物)がある遊園地
〇森の自然を利用したアスレチック(+渓流釣りなどのアクティビティ)
このうち、おもちゃパビリオンは、おもちゃ王国の入場料のみで利用可能である。
アトラクションやアスレチックは、施設ごとに料金設定されているほか、乗り物やアスレチックを含むフリーパス券も存在している。
料金は以下の通り(いずれも通常価格。クーポン割引等もあり)。
・入園券 大人1,300円、小人1,000円
・フリーパス 大人3,300円、小人3,100円
すでに書いたように私たちは入場料でおもちゃパビリオンのみ利用した。
理由は、帰りの新幹線の関係で、滞在時間がまる1日とれなかったというのが大きい。
おもちゃパビリオンのみで滞在時間をすべて消費してしまうと判断し、結果、その通りになった。
そのため、アトラクションやアスレチックの説明は含まないのでご注意いただきたい。
※アスレチックは5歳以下の場合、親の付添いが必須であり、次男のふーくん(3歳)にはまだ早いかなと思ったことも理由の一つである。
おもちゃパビリオンは、全部で12の建物があり、建物ごとに異なる種類のおもちゃが用意されている。その数はなかなかのものである。

例えば具体的には、「メルちゃんのおうち」「アニア アニマルアドベンチャー」「トミカ・プラレールランド」「シルバニアファミリー館」「リカちゃんハウス」…などといった建物があるのだが、そこに集められたおもちゃの数はかなりの規模なので、そのシリーズが大好きだという人から見れば、極めて魅力的な場所なのは間違いない。
おもちゃのほか、屋外には遊具の設置された遊び場もあり、天気のいい日には屋外遊びもできる。
また、園内は非常に広く、森の自然の中に渓流が流れているような環境なので、散歩するのも楽しいだろう。
渓流釣りやクラフト作りなど個別に追加料金を払うアクティビティもある。

見よ、この吸引機の威力を
我が家は半日ほど滞在し、子どもたちはすっかり遊びに夢中になっていた。
中でも特に恐るべき子ども吸引力を示していると思った場所を3つ挙げておこう。
【スポット① プラレール】
プラレールに対する子どもたちの情熱はとどまるところを知らない。
おもちゃ王国には、「トミカ・プラレールランド」というパビリオンがあり、見たところ一番人気を争っているように思われる。

何しろ、大きなホールのような部屋いっぱいにプラレールの遊び場が広がっており、
たくさんの車両のほか、コースを作るためのレールやパーツも、驚くほどの数が揃っているのだ。
子どもにとっては夢のような場所に違いない。

実際に、フロア内ではたくさんの子どもたちがそれぞれに巨大なコースを作って思い思いに熱中していた。

仮にふだんから自宅でプラレールを所持していたとしても、これだけの数のレールや車両を使ってこんな大きな規模のコースを作れるなんて、日常の中では体験できないことだ。
私もかつては子どもだった立場なのだから、大好きなおもちゃがこんな量で並べられていたらどんなふうに感じるものか、想像はできる。まさしくヨダレが出てきそうな気持ちだろう。大興奮で、何もかも忘れて、ずっと没頭していたいに決まっている。

というわけで、息子2人はひとたびこの建物に入るや、プラレールに身も心も没頭し、時間を忘れて遊び呆けていた。

親はしばし一休みである。部屋の片隅に腰掛け、遊ぶ子どもたちを見守りながら、すっかり無になっている。室内には同じような親御さんがたくさんいるのであった。

【スポット② アンパンマン】
アンパンマンは、低年齢の子どもたちからおそるべき支持を集めるコンテンツである。
なぜこんなにみんなアンパンマンが好きなのか、親たちの誰ひとりとして解明できていない(いや、知らんけど)。
何かあのデザインには、幼児の感性を強い依存に陥らせる視覚的中毒性が秘められているのではないだろうか?
あまりの中毒性からいずれ当局の規制の手が及ぶ可能性もある。(注:冗談です)
私の次男、ふーくんも、近所の児童館に連れて行くたび、アンパンマンの「ガチャころりん」というボールが出てくるおもちゃに夢中になっている。
おもちゃ王国には、アンパンマンの名前のついた建物はないのだが、ところがどっこい。
「ピノチオ館」というのが実際にはアンパンマン館である。

ピノチオとはおもちゃメーカー「アガツマ」のブランド名であり、アンパンマンのおもちゃを数多く発売している。まるでそのショールームのようになっているのだ。
そこには、アンパンマンのテレビ放送の最中に流れるCMで紹介されているようなおもちゃがズラリ…!!
親が見れば、アンパンマンのおもちゃってこんなにあるの!?と驚くような種類だ。


子ども同士で取り合いにならないよう、同じおもちゃが複数個用意されているのが嬉しい。
入室してすぐに、上述の「ガチャころりん」を発見したふーくんが光の速さで誘引されていったことは言うまでもない。


そして、なぜか、すでにアンパンマンを卒業して久しいはずの長男ひーくん(4年生)まで、何やら興味を持ってアンパンマンおもちゃに熱中し始めるありさまである。
アンパンマンの吸引力、おそるべし。取り合いでケンカせずに遊んでくれるのは親としても嬉しい限りだ。



【スポット③ 砂場と水場】
子どもは、大人から見ればやめてほしい遊び――服やら靴やらがベチャベチャに汚れたり、後始末が大変だったりする遊びが大好きである。
まあつまり、どろんこ遊びとか、噴水に突入とかそういうのだ。
おもちゃ王国には、もれなくそういう場所も用意されている。
訪問される際には着替えを持参するとよいだろう(私は忘れてしまった…)。
園内を散歩している最中に、子どもたちは砂場を発見。
滑り台で砂場に突入し、そのまま兄弟ふたりで黙々と砂場遊びをし始めた。

子どもたちが存分に楽しめるよう、砂遊びや水遊びに使えるグッズ(スコップやジョウロの類)もふんだんに用意されていて、自由に使える。
さらに、隣には、大きな水遊び場もある。
ただ、我が息子たちは砂場のほうが好きなようで、私から見れば水遊び用にしか見えないおもちゃを駆使して砂遊びに熱中していた。

ちゃんと近くに手洗い場もあるので、汚れても安心である。
飽きるほど遊び場がある
ついでに、そのほかの「おもちゃパビリオン」についても、ご紹介は省略するが、写真を載せておこう。
もちろんこれがすべてではない。









個人的に好きだったのが、「木のおもちゃ館」。ぬくもりのある木のおもちゃが集められていて、素朴でやさしい気もちになれる。赤ちゃんにもちょうどよい。


おもちゃだけでもこれだけの量と種類がそろっているので、子どもが丸一日、大喜びで遊べる場所なのは間違いない。
実際、例えばプラレールひとつとっても、こんなにたくさんのプラレールを自由に遊べる施設はめったにあるものではない。
さらに、我々は利用していないが、大規模アスレチックや遊園地の乗り物もあって、もう飽きるほどの遊び場が用意されている。
体を動かす遊びが好きな子、電車が好きな子、お人形が好きな子…いろんな好みのお子さんが、自分のやりたいことを見つけられるに違いない。




例えば1泊2日でこの近辺を旅行するなら、1日は大人が行きたい場所へ、そしてもう1日は子どもにとって夢のような世界である「おもちゃ王国」へ立ち寄るというのも、家族メンバーの調整の結果として、アリではないだろうか。
ただし、何度も書くように…決して、子どもに対するおもちゃ王国の誘因力を甘く見ないように。
ひとたび立ち寄れば、子どもが一歩も動かないという事態も想定して旅程を考えよう!


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