旧江戸城の姿をとどめる皇居
東京の地図を開けば、都心のど真ん中に、お堀に囲まれた巨大な敷地が鎮座している――それが皇居だ。
ご存じの通り、もとは江戸城だった場所に、明治時代になって天皇が移ってきて、以後、天皇の住居となっている。天皇の平常の住まいや、皇室関連施設が置かれているほか、江戸城だったころの遺構も保存されている。
広大な敷地を有する皇居だが、そのうち、旧江戸城の本丸・二の丸・三の丸の一部にあたる東側のエリアは、「東御苑」として、一般に開放されており、
誰でも気軽に公園がわりに訪れて、四季折々の景色を楽しみながらノンビリすることができる。
その皇居で、現在、「皇居を巡る謎解きの旅」という謎解きイベントが開催されている。
皇居の散策がてら参加してみたので、その模様をお届けしたい。
※謎解きのネタバレはしていませんのでご安心ください
全体の感想としては、「本格的な作りの謎解きではないが、皇居を散策しながら気軽に参加するのにピッタリ」という印象だった。
皇居謎解きイベントの流れ
本イベントは、令和7年3月から始まっており、令和9年3月末まで、約2年にわたり開催されている。
イベントと言っても、何か現地で特別なことが行われているわけではなく、
皇居東御苑の敷地内に看板が立っていて、それを探しながら自分のスマホで謎を解いていくというシンプルなものである。
【皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnok】
・実施期間:令和7年3月18日~令和9年3月31日
(皇居東御苑の開園時間内)
・場所:皇居東御苑内
・必要なもの:通信可能なスマートフォン(NFCタグ読み取り又はQRコード読み取り機能があるもの)
・参加費:無料
具体的なやり方としては、以下のような流れである。
①東御苑の敷地内に点在している謎解きの看板を見つけ、看板につけられたNFCタグもしくは記載されたQRコードを読み取って、謎(クイズ問題)を入手


②スマホの画面に問題が表示される

③問題の回答をスマホ画面に入力。正解すれば、スマホ上に正解画面が表示され、パズルのピースの画像が現れる

④問題(全10問)をすべて正解すると、スマホ画面上でパズルのピースが揃い、画像が完成する
…という感じだ。お分かりの通り、いたってシンプルである。
使うものは自分のスマホだけ。「謎解きキット」のようなものはないし、クリアしたから何か景品がもらえるとか、誰かに報告しに行くとかの仕組みもない。
完全に自己完結できる。
さらに、問題を一度読み取ると、回答を入力するのは後からでもかまわないので、看板があるその場で解く必要もない。
また、出される問題については、クイズ画面だけ見れば解ける内容であり、例えば会場内を探索してヒントや手がかりを見つけて回る、といった要素はない。
問題の難易度も高いわけではない。もちろん参加する人の年齢にもよるのだが、他の謎解きイベントと比較しても、難しいとは感じなかった。
(ただし、漢字の知識が必要だったりする場合もあるので、お子さんは自力で全部クリアできないかもしれない。)
そのため、「自分の頭と足を駆使して全力で謎に挑む」みたいなのを期待する方には、物足りないだろう。
気軽にサクサクやるのに向いている。
全10問の問題を表示した看板は、東御苑の敷地内に、バランス良く散らばっているので、
出題看板を探しながら歩いて回ると、ちょうど東御苑をぐるっと一回りできる。

謎を1問解くと、解答と合わせて、皇室に関するマメ知識のような解説が出てくるのが面白い。
ちょっと勉強になって、皇室への親しみを深められるという狙いだろう。
東御苑には、江戸城の天守台跡、百人番所、二の丸庭園など、江戸時代の様子をしのばせる歴史的な建造物のほか、自由に休める広大な芝生広場もあり、散策にぴったり。
皇居東御苑の見どころを楽しみながら、散策の味付けに、謎解きに挑まれるとよいのではないか。
以降は自分の訪問記である。
皇居謎解き訪問記
私が5月に訪問したときは、お天気もよく、皇居の緑がとても美しかった。
地下鉄大手町駅に降り、大手門から皇居東御苑に入る。
入口では簡単な手荷物検査がある。
東御苑の入場は無料である。
ただし、月曜日と金曜日は休園日なので、これから行かれる方はよく注意してほしい。
(休園日カレンダー参照)

来訪者は半数以上が外国人観光客であり、もはや日本人の自分のほうがマイノリティのように感じられる。
見た目だけでの印象だが、アジア人より欧米人のほうが多いようだ。

門を入り、奥へ進むと、同心番所、百人番所など、江戸城にあった歴史的建造物が残っているのを見ることができる。



石垣の間を抜け、坂道を登ると、広大な広場に出る。
ここは江戸城の本丸跡で、芝生広場になっており、バラ園や茶畑などもある。
売店を兼ねた休憩所も設置されている。

天気がいいので、木陰にビニールシートを敷いて休憩するグループもいるし、芝生の上に直接寝転んで豪快に昼寝をしている観光客もいる。
我が家の子どもたちは草むらにてんとう虫を見つけて夢中になっていた。
シオカラトンボが飛んでいるのもちょっと珍しい。
皇居には緑が多いので、こんな都心にあっても、案外色々な生き物が住んでいるのかもしれないと思う。
ちょうどバラ園でバラがよく咲いている季節だ。
バラ園と言っても、よく見慣れた西洋の園芸品種という感じではなく、イザヨイバラとかサンショウバラとか、私には聞き慣れない名前のバラが植えられていて、新鮮だった。


バラ園の裏手の通路のあたりには、「松の廊下跡」なんてのもある。忠臣蔵で有名なアレだ。
当時は大廊下があったらしい。とはいえ、今となってはこの場所でその痕跡を感じられるわけではない。

本丸跡をいちばん奥まで進めば、天守台だ。
上にのぼると、眺めがよく、本丸跡の様子がよく見渡せるので、次々とみんなのぼっていく。

江戸城の天守は3度建てられているが、3代目の天守が明暦3(1657)年、江戸の大火で全焼。
その後、天守台だけは再建されたものの、その上に乗っかる天守自体は再建されずじまいだったらしい。
そのため、250年以上続いた江戸時代のうち、江戸城に天守があったのは最初のほんの数十年であり、残りの期間はずっと天守がなかったということになる。それだけ平和な時代だったと言うこともできるのかもしれない。
本丸休憩所の隣の建物に、江戸城の最後の天守の復元模型が展示されているので、これは必見だ!


天守台と通路を挟んで向かい側には、宮内庁の楽部庁舎や書陵部庁舎がある。
その裏手を抜けて坂を下りていけば、やはり急な坂の先に二の丸地区が広がる。
このエリアには池を囲むようにして二の丸庭園があり、風雅で落ち着いた雰囲気を楽しめる。

散策していると白い花が目に付く。ひとつはヤマボウシ。もうひとつはウツギだ。
日頃じっくり花をみることもないので、季節の花に目をとめて、何の花だろうかと考えながら歩くのは心が和む。

二の丸庭園ではサツキが美しい。
庭園の中心にある二の丸池には、ヒレナガニシキゴイという尾ひれの長いコイが泳いでいる。
これはなんと、上皇陛下(当時皇太子殿下)が日本のニシキゴイとインドネシアのヒレナガゴイの交配を考案したことから、品種改良され、誕生した品種なのだという。



…まあこんな感じで、謎解き看板を探しながら歩いているうち、自然と皇居東御苑のさまざまなスポットに目が行くようになっている。
二の丸庭園には、菖蒲園もあり、私が訪れたときには開花にはまだ早かったが、この先の季節、徐々に見頃を迎えるだろう。庭園の美しい風情を引き立ててくれるに違いない。

我が国がたどってきた歴史に思いをはせつつ、四季折々の花々を眺めて落ち着いた散策を楽しめる皇居東御苑。
謎解きイベントは今年度いっぱい、引き続き開催中なので、皇居に行ったことのある人もない人も、ぜひこの機会にお出かけになってみてはいかがだろうか。



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