読書感想文なんかやめちゃえよ。「全児童テンプレ化計画」みたいな宿題を見て心底思った話

マジメ風味の話題

小中学生のみなさんは、夏休み真っ最中である。

小学生の長男(ひーくん)も、学期末にたくさんの荷物とともに宿題のリストを持ち帰ってきて、親にやかましく言われながら進めているところだ。

夏休みの宿題として、昔からある定番のひとつが「読書感想文」だろう。
私が小中学生だった時代にも、必ず宿題として出されていたが、令和の小学生の宿題リストにもバッチリ含まれている。

しかし、「読書感想文が苦手」という声も、昔から多い気がする。
何をどう書いたらいいか分からず、苦戦した経験を持つ方も多いのではないだろうか。読書自体は好きだが、読書感想文は書きたくないという人もいると思う。
学校で学習する内容と必ずしも連動しているわけではないから、苦労して書いたところで、果たして何の役に立っているのか納得がいかない、という思いを抱かせる面もある。
それにもかかわらず、現代にも根強く生き残っている読書感想文とはいったい何者なんだろうか

令和の読書感想文——我が息子のケース

自分の子どもが取り組んでいるものを見る限り、令和の読書感想文事情は、自分の時とは少し違っているようだ。

1年生のとき、長男は、「読書感想文作成シート」のようなプリントを持ち帰ってきた。
それは、だいたい次のようなものであった(実際は縦書き)。
※記憶に依存したイメージです

宿題は、そのプリントを埋めることであり、読書感想文そのものは、宿題に含まれていない
この「シート」をもとに、夏休み明けに、学校で感想文を書くのだという。

なるほど、と私は思った。まだ1年生だから、いきなり「感想文を書け」と言われてもむずかしい。
このようなテンプレートを埋めさせて、実際の作文は学校で指導して埋めさせるということだろう。
なかなかの親切設計である。子ども(&家庭)の負担軽減が図られているんだな、と理解した。

2年生の夏休みがやってきた。読書感想文の宿題は、同じスタイルだった。
「あ、まだ作文自体は宿題に出ないんだな」と思った。そして3年生の夏休みが(以下略)

3年間、読書感想文そのものは出されず、いずれも上記のようなプリントを記入するという宿題だった。

今年、新たに登場したものは…

今年、長男は4年生になった。
「さすがに高学年になったので、今年からは作文形式で宿題が出されるかな」と私は想像していた。
そろそろ自分で作文できる年齢だし、そういう内容であってしかるべきだ、という気持ちもあったのである。
そして今年、長男が持ち帰ったものを見てびっくり仰天した。

その実物は、これである。

はるべ
はるべ

………退化しとるやないかい!!!!

と、思わず私は言った。
高学年になり、高度な内容を求められるのかと思いきや、これまでよりさらにテンプレ化の傾向が強まっている

なんだこりゃ」というのが私の率直な感想だった。
今どきの小学校は、児童たちを退化させようとしているのか!?
作文ひとつ書けない人間に育てようとしているのか!?

いや、そりゃ、確かに、これの穴埋めをするだけなら、作業は楽だろう。
「何を書けばいいのか」と思い悩む必要もないし、自分で全体の骨子みたいなのを考える必要もない。
もしかしたら本をまともに読まなくても、要領のいい子なら、拾い読みでこのシートくらい完成させられるかもしれない。
でも、と私は思った。なんというか、強烈な反感を感じた。

はるべ
はるべ

私が本を読んで何を思ったか、
どうしてお前に決めつけられなきゃいけないんだよ!!!

一言で言うとそういうことだ。

だって、本を読んで何を思うかは、読者の自由だ。
もちろん、感想文を書く対象として選んでいる時点で、何かしら、その本に対して、特筆すべき感情を持っているはずだ、ということにはなろうが、それがどんなものであるかは、他人が決めることなんてできないし、ましてや、「こういう感想を持ちなさい」と指導するなんてものではないはずだ。

しかし何だろうか、この極端に決めつけたテンプレートは。

例えば、この文章に沿って穴埋めしていこうとすると、
・私も主人公と同じ体験をしたことがあり、その時に○○と感じた
・もし私が主人公の立場だったら、○○だろうと思う
の2通りを必ず選ばなければならない。

まるで、「本を読めば、こういう感想を持つのが正しいんですよ」と言わんばかりである。
純真な子どもたちは、「そうか、本ってこんなふうに思いながら読まなきゃいけないんだな」と感じるかもしれない。

ほっといてくれよ!!
好きに読ませてくれよ!!
人の感想に介入してくるなよ!!

お願い~お願い~決めつけないで~

正しい本の読み方なんてあるんだろうか。
「こんなふうに読むのが正しいんですよ」と言われて読む本なんか面白いだろうか。
面白いわけないじゃん!!!

なにひとつ理解・共感できない主人公の行動に、「いやなんでそうなるんだよww」って全力でツッコみながら小説を読み進めたことないんですか。「もし私だったら」なんて次元を超えて、圧倒されてグっときた、なんてことないんですか。

私はこのあまりにも硬直的なテンプレートに強い反発を覚えた。

・・・いや、こういうものが作られる事情もよく分かる。
読書感想文って、そもそも、とても難しい作文なのである。
私自身、低学年だったころは、やたらにあらすじばかり長々と書いたりしていた
小学生の中には、本を読んでも、内容を理解することで精一杯で、感想と言われても困ってしまうという子も多いだろう。登場人物に感情移入して小説にのめり込むタイプの子どもばかりではない。

「感想って言われてもよく分からない」とか「別に何も思わなかった」とか言っている子どもに、「じゃあ、自分に置き換えて考えてみようか」などと提案して指導するのは、自然なことだろう。
読書感想文は、指導する方にとっても、けっこう難しいのだろうと想像する。

でも、これを見た子たちは、読書が楽しいと思うだろうか?
読書感想文とは、本来、人によって極めて多彩であるはずの読書という体験を、決めつけの型にはめて表現することを訓練する課題なのか?

そんならもう、読書感想文なんてやめちゃえよ、と私は思う。

型にはめた「感想」を言う訓練が何になるのか。
いずれ社会に出るときには、型にはまった「エントリーシート」を書かなければならないから、そのための訓練を今から始めようというのか。

読書好きな人なら皆分かってくれると思うが、本を読むことは自分の世界を広げることであり、自分の想像や思考のを自由に解き放つきっかけをくれるものだ。
それなのに、本を読むことが、型にはまるための訓練としてしか機能しないなら、本なんか読まない方がマシだ。
自由な未来のある子どもたちに、大人がテンプレ化を強要してどうする。

断然よさそうな代替案を考えたぞ

そういうわけで、私はこのテンプレ読書感想文シートに対しては、異論を表明するものである。

そして、「じゃあどうしたらいいんだよ」という問いを想定して、もっと別の宿題を提案しよう。

上記の①~③を選択制にし、各自で好きなのを一つ選んで取り組み、成果物を提出するというのはどうだろうか。

① 本を読んで、内容を要約する
⇒字数を決めて、本の内容を要約させる。文章を要約する作業は、国語力の向上に極めて有効である。

② 本を読んで、その本の内容をみんなに紹介するチラシを作る
⇒小学生がよく作っている「○○新聞」みたいなイメージで、画用紙1枚くらいで本の紹介をまとめる。文章だけでなく絵やイラストも活用し、ビジュアル面を工夫しながらみんなに本の内容・魅力を伝えるチラシを作る。

③本(小説)を読んで、その続きやスピンオフ作品を自分で創作する
⇒妄想で続きを創作したり、主人公以外の登場人物にフォーカスしたスピンオフを書いてみたり。もとの本を前提にしている限り、どんな内容でも自由。


言うまでもなく、①⇒②⇒③の順にハードルが上がると思われる。
あまり熱量のない児童の多くは、①を選ぶだろうが、自分で要約文を書くなら、テンプレ記入作業よりも国語力の向上に寄与するはずだ。
文章よりも、絵を描いたりするのが好きであれば、②もよいと思う。
そして、月島雫みたいな子供は、嬉々として③に取り組んでくれるに違いない。

そもそも対象が本である必要もないので、映画や漫画でもよしとすべきである。
夏休みに家族で「トイ・ストーリー5」を見に行って、そのあらすじを規定の文字数で要約する…なんて、いい練習になるのではないか。

我ながら実にいい案に思えるので、全国の小中学校では次年度からの導入をぜひご検討ください

え?長年ずっと読書感想文の課題を出してるのだからやめられないって?

読書感想文がなぜ続いているのか。それって正直、読書感想文のコンクール開催を口実に「課題図書」なるものを設定して、それを出版社が売りたいというだけではないですかね。私にはそう思えてならない。

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