熊本はよく「火の国」「水の国」と称される。
阿蘇山に代表される火山の活動と、豊富な湧き水という水の恵みを享受できる土地であることを表しているのだろう。
日本は山に抱かれた国である。火山活動による「火」の恵みと、山から湧き出る「水」の恵みとは、我が国の国土を構成する基本要素になっているのだ。
阿蘇に行くと、そのことを目の当たりに体感する思いがする。
だから、阿蘇は、「一生に一度はぜひ行くべき観光地」「何度でも行きたい観光地」だと思っている。
本記事では、まだ阿蘇に行ったことがない人に向けて、「一生に一度は行くべき」と言える理由や、私が考える阿蘇の魅力を3回に分けて紹介したい。
プロローグ:阿蘇の地形を知ろう!
はじめに、国土地理院の色別標高図で、阿蘇地域を見てみよう。阿蘇の地理に対するイメージをつかむことができる。

この地図を見れば、阿蘇の地形が一目瞭然だ。
地図の中心で丸くポッカリ空いている広大な部分が、世界最大規模と言われる阿蘇のカルデラである。
南北25キロ、東西18キロもの大きさに及んでいる。
カルデラの中心には、東西に連なる山脈が際立っているのが分かる。
これが「中央火口丘」と言われる連山であり、その中心をなしているのが「阿蘇五岳」である。
そして、ポッカリ空いているカルデラを取り囲んでいる外周部が、外輪山にあたる。
外輪山に囲まれた平坦な部分は「火口原」と呼ばれる。
「阿蘇山」という場合、中央火口丘や阿蘇五岳を指す場合もあれば、もっと広く、外輪山や、外輪山に囲まれた火口原も含めた全体を指している場合もある。
阿蘇のこの際立った地形は、過去、30万年から7~8万年までに繰り返された4回にわたる火山活動によって形成されたものだ。
まさに我々が生きるこの大地の変動のダイナミズムが直接に表れている場所なのだ。
さらに、阿蘇について驚くべきことは、このカルデラの中に約4万人もの人口(阿蘇市HPより)が生活を営んでいるということである。
いわば火口のような場所なのに、その中に当たり前のように道路や鉄道も通っていて、農地や市街地があるのだから、あらためて考えるとすごいことだ。
しかし、そのおかげで阿蘇にはたくさんの見所がある。
阿蘇の見所を網羅的に紹介するのは手に余るので、私が考える阿蘇観光のポイント——言い換えれば「一度は絶対阿蘇に行くべき理由」3つを先に言おう。
①カルデラが生み出す唯一無二の絶景!
②「火の国」の息吹を感じる火山活動のダイナミズム!
③「水の国」の恵みを感じる湧き水めぐり!
である。
それぞれについて、近年、自分が阿蘇を訪問したとき(2023年、2025年)のレポートをまじえながら
順番に紹介したい。
第1章:カルデラが生み出す唯一無二の絶景
・雄大な大草原
阿蘇では、どこに行ってもすばらしい絶景が眺められる。
阿蘇の外輪山をドライブすれば、青々とした草原が続く阿蘇らしい景観が眺められる。特に「阿蘇ミルクロード」は、日本有数のドライブルートで、自動車のCMにもよく使われている景色らしい。
この景色は決してありのままの自然ではなく、長年にわたり、野焼きや採草など人の手が入ることで維持されてきたものだ。カルデラの中に人の暮らしが営まれてきた阿蘇ならではのものである。
実を言うと、私が訪問したのは2023年1月と2025年4月で、
前者は草の枯れた冬の時期であり、後者はちょうど野焼きが終わったあとの茶色い地面が広がる時期だったので、
写真によくあるような青々とした草原は見られなかったのだが、広々と続くその景色の開放感は、いずれの季節でも堪能できるものだった。


阿蘇五岳の「烏帽子岳」の北側斜面には、広大な草原地帯「草千里」が広がっている。
どこまでも続くような大草原の真ん中には池ができており、放牧された馬がのんびり歩く。
遠くに中岳の噴煙が見通せる。空がとても広く、牧歌的な風景に心が解き放たれる。
夏は草原の緑に覆われる場所だが、先述したとおり私が行ったのは冬と春だった。
1月に行ったときは、足先も指先もかじかむような寒さで、池は完全に凍り付いていた。
視界一面にモノトーンの景色が広がり、訪れる人もまばらな中、草原地帯は静寂に支配されて、なんだか無心になるような、瞑想的な光景だった。


一方、4月にはまた別の景観が見られた。
野焼きが終わり、黒く焼けた草の残りが地面に広がっている。
焼けた後に少し伸びてきた草が、地面からピコピコと生え出て、その上を踏んで歩くと、まるで霜柱を踏むような、シャクシャクとした独特の感触があった。



・阿蘇五岳の秀麗な眺め
そして、外輪山や火口原のあちこちの場所から眺める阿蘇五岳の山容の美しさ。
巨大な阿蘇のカルデラの中で、阿蘇五岳が眺められる場所は無数にあるが、場所によって異なるその表情もすばらしい。
代表的な展望スポットは「大観峰」だろう。
カルデラを取り巻く外輪山の北側の一画にある峰で、阿蘇五岳の全貌が眺め渡せる。
ここから見る阿蘇五岳は涅槃像のように見えるのだという。
私が訪れたのは真冬、あいにくの曇り空で、山の姿はやや霞み、残念ながら涅槃像という印象は持たなかったが、阿蘇の地形のスケールの大きさと雄大さを目の当たりにする思いだった。

大観峰は阿蘇五岳を北側から見る形になるが、南阿蘇へ行けば、南側からの阿蘇五岳の眺めも楽しめる。
私が訪問したときは、南阿蘇から見る根子岳の眺めが大変素晴らしかった。

根子岳は阿蘇五岳の中でも、ギザギザした荒々しい山容を持つ特徴的な山であり、大変よく目に付く。

桜の季節に訪問したときには、お花見をかねて、南阿蘇村にある「南阿蘇桜公園」を訪れた。
ここからの阿蘇五岳の景観も美しく、遠景に阿蘇の山並みを眺めながら満開の桜を堪能するという、非常に贅沢なお花見だった。
桜の季節に訪問される方には特にオススメだ。


これらは、たまたま私が訪問した場所を紹介したにすぎない。
阿蘇には、多くの場所に展望所が設けられていて、雄大な景観を様々な角度から堪能できるようになっている。
複数回訪れる機会があれば、前回とは別の場所から風景を眺めに行って、また違う表情を楽しむことができるのだ。
<その2>に続く



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