暦の上では寒中を迎え、寒さの厳しい時期に入っている。
日々の外出のために、しっかり防寒できる服は必須だ。
ユニクロを運営するファーストリテイリングの株価が、決算発表を受けて急騰し、時価総額が20兆円に迫る規模まで上昇したという報道があった。(⇒関連記事)
日経平均を押し上げる効果も大きかったらしく、今やユニクロはアパレル産業では類を見ないほどの巨大企業になっている。
日々、仕事と子育てに追われていると、ショッピングなどと言っている時間もなく、今まさに服が必要だという時には、「とりあえず近所のユニクロへ」となりがちである。
そんなユニクロについて思うことを書く。(単なる個人の見解です。)
・これはもう社会インフラなのでは?
昨年の終わりにも、冬物の衣類を調達するためユニクロの大型店舗に出かけ、仕事用の服、休日用の服と、必要なものを慌ただしく買い揃えて帰った。
気づいてみるとここ数年、ユニクロばかり買っている。
最低限必要なものをユニクロで調達し、あとは出かけた先でたまたま気に入った服があれば買い足す、そんな感じだ。
実際、そういう人は少なくないのではないかと思っている。
何しろ、街のどこにでもユニクロがあるのだから。
相当数の人が、服の調達の一定部分をユニクロによっていると想像している。
この状況になってくると、もはやユニクロは、衣食住にかかわる社会インフラとさえ言えるのではないだろうか。
そしてこう思う。
——ユニクロが普及してなかった時代には、一体どうやって服を調達してたんだろう?
あえて「普及」といったが、ユニクロの店舗密度と、社会への定着の度合いを見ていると、
「成長」とか「拡大」というより、「普及」という言葉がぴったりくるように感じる。
例えば、食料品が地域の個人店で品目ごとに商われていた時代から、スーパーマーケットという業態が普及してみんながそこで買い物をするようになった…という、そういう変化と類似した現象のように見えてしまうのである。
・なぜユニクロは普及したのだろうか
なんでこんなにユニクロは普及したんだろう?と考えたとき、
少なくとも私の目から見ると、ユニクロには大きく以下の3つの長所がある。
(※繰り返しだが、単なる個人の見解です)
① サイズ等の選択肢が多い
② 店舗が機能的で買い物しやすい
③ ファッション感度の低い人間に対して開放的
逆に言うと、ユニクロがなかったら、これらを満たす店がないということになり、一体どこで服を調達すればいいか分からない。
以下、上記①~③について補足しつつ説明しておく。
・①「サイズ等の選択肢が多い」について
ユニクロは他のアパレルショップに比べて、サイズ展開が豊富である。
子供服や紳士服などは、話が別かもしれない(例えば男性用のスーツは、サイズがやたら細分化されている印象)が、レディースのオシャレなショップにありがちだったのが、「ワンサイズしかない」という状態だ。
体型の個人差を無視して、平均的なサイズ(あるいはショップがいちばん理想的と考える体型)に合わせて服が作られている。
消費者は、「私に合う服」がない。「お前が服に合わせろ」と言われている気分である。
「お前が服に合わせろ」という要求は、「服に合ってないあなたの体型は、我々のブランドが理想とする体型ではないですよ」という圧力あるいは排斥のメッセージでしかなく、消費者に何も寄り添ってない。
ユニクロは、サイズのみならず、そもそものアイテムの種類が多いのももちろん強みだ。
選択肢の豊富さによって、ターゲットとする年齢層がとても広い。
ユニクロは何歳でも着られる。若い時と年取ったときとでは、選ぶアイテムやサイズを変えればよいだけだ。
・②について
ユニクロの店舗は非常に機能的にできている。
試着室もシステマティックになっており、試着のハードルが低い。
商品の価格やサイズも一見して分かるようになっている。
アパレルショップは雰囲気やオシャレ感を重視してのことか、値段もサイズもわかりにくく陳列されているし、試着のためのやりとりも正直めんどくさい。
そして重要なのが、店員に話しかけられないということだ。
アパレルショップで服を見ていると、大体店員に話しかけられる。話しかけられたい人もいるだろうが、私のようなファッション感度低めの陰キャにとって、それはストレスでしかない。
「怪しまれてるのかな?」「お前みたいな不細工に似合わないよwwとか思われてるのかな?」などという無駄なストレスにさらされてしまう。
ユニクロにはその地味なストレスがなく、買い物が非常にシステマティックに完了する。
・③について
そして、①②の帰結ともいえる③が、ユニクロが拡大したもっとも大きい理由ではないかと私は思っている。
②にも書いたが、ファッション感度低めの陰キャである自分のような身からすると、アパレルショップのキラキラしたオシャレな雰囲気は、圧力でしかない。
それはお前だけだろ、と言われるだろうか?本当にそうだろうか?
世の中には、ファッション感度が高くオシャレを楽しみ、キラキラを好む人ももちろんいるのだろうが、
大多数の人は、そこまでファッションに人生のリソースを割いてないのではないだろうか?
「服にはこだわらない」「最低限、変じゃなければいい」「無難な格好がしたい」くらいに思っている人は、けっこう多いんじゃないだろうか。違います?
だって、考えてみてほしい。「衣食住」の「食」について想像を巡らせれば、世の中にはグルメな人もそうじゃない人もいるはずだ。
こだわりの食材を料理人が最上の技で仕上げた高級グルメを食べたい人もいれば、正直そんなことに関心がなく、ある程度ウマくて腹が膨れればそれでよいと考えている人も多いのではないか?
興味やこだわりがあろうがなかろうが、人間は食う物が必要なのである。
世の中に意識高いグルメなレストランしかなくなり、吉野家やマックが滅んだら、みんな困ると思う。
服も同じで、オシャレやファッションに特段の興味がなかったとしても、生きる上で何かしら衣服は必要である。
しかし、アパレルショップは、そういう「単に必需品として衣服を求める人」というのをあまり想定していないような作りに見えるのである。
ユニクロは、「別にオシャレをしたいわけではなく、おかしく見えない程度の普通の服を簡単に買いたい」という人のニーズには実によくマッチしている。
・「ファッション弱者」の立場から
ファッション産業に携わる人と異なり、世の人々が皆、「トレンドに沿ったオシャレを楽しみ、日々の服のコーディネートで生活に彩りを与えたい」などという行動原理を持っているわけではない。
私自身、「オシャレな格好をしろ」と言われても、困ってしまうだろう。
ファッションセンスなんかまったくないし、キラキラのアパレルショップが醸し出す雰囲気はストレスでしかなく、そういう所に服を買いに行くこと自体、気が重い。
最低限、おかしくない服を着なければと考え込むだけだ。
私のような人間を、ここでは「ファッション弱者」と呼びたい。
・自分にオシャレなセンスはない
・トレンドを意識するようなファッション感度もない
・オシャレな服が似合う容貌でもなく、オシャレ空間にいると場違いに思える
・キラキラのアパレル店員とのやり取りも苦手
・平均的(あるいは理想的)な体型とはいえない
・着ている物で悪目立ちしたくない、ダサいと笑われたくない
・普通に無難な格好をしていたい
みたいな人を「ファッション弱者」とすると、
そういう人にとって、デパートやらブティック(?)やらに出かけていって、キラキラ店員と会話しながら服を買うという行為は、大変ハードルが高い。
そんなとき、家の近くにはユニクロがある。ああ、「日本に、ユニクロがあってよかった。」
・ファストファッションと言われるけれど…
ユニクロはよく、「ファストファッション」と言われる(実際、ウィキペディアのユニクロのページには、そう書いてある)。
ファストファッションは、トレンドにあわせて安く大量に服を作り、短いサイクルで消費していくような形態のことであり、大量生産・大量廃棄という消費のあり方に、疑問が呈されることも多いと認識している。
さらにユニクロには、海外での生産過程等における労働環境に関する批判があることも承知している。
しかし、上述の通り、ユニクロが普及したのは、「トレンドの服を次々と安く買えるから」というより、むしろ、「トレンドとか面倒なことを考えず、無難な服を簡単・手頃に調達できるから」ではないのか?と私は感じている。
その意味で、ユニクロはファストファッションには該当しないと思う。
(ファストファッションの代表として例に挙げられるZARAやH&Mが、ファッション弱者に親和的とはあまり思わない)
ひとつのものを長く使いましょう、大事にしましょう、というのは当たり前のことで、
大量に作っては捨てまくる消費形態がいいとは思わないし、
安さを実現するために世界のどこかで劣悪な労働環境が発生しているのなら改められなければならない。
しかし、「別にオシャレをしたいわけではなく、自分の体形や年齢に合った(おかしく見えない)服を簡単に調達したい」 というニーズに対して、今のところ、ユニクロほど最適な解はないように思える。
オシャレ好きだろうが、絶望的にダサかろうが、
スタイル抜群の美女だろうが、太ったオバチャンだろうが、
生きていく上で着るものは必ず必要だ。
ファッション弱者にとって、衣食住の「衣」を手軽に素早く満たすことができるユニクロ(のような店)はもはや必要不可欠に感じられる。
ユニクロを「ファストファッション」と呼ぶ人は、その観点を欠いているのではないかと思う。
ユニクロの株高のニュースを眺めながら、あらためてその存在感の大きさと役割とを認識したのであった。
ちなみにこないだユニクロで買った中で、大変気に入ったのは「スフレヤーンショートカーディガン」でした!着やすくて、あったかくて、ゆったりシルエットもよい。ユニクロ、助かってます。



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