新神戸駅への率直な評価
新神戸駅に行ったことがあるだろうか?
新幹線で神戸に行く場合の玄関口となる駅である。
私は実家が兵庫県にあるので、帰省の際にしょっちゅう使っているのだが、
神戸に用事がある人や近辺に自宅等がある人以外は、あまり使ったことがない駅ではないだろうか。
よく利用している立場から、遠慮なく率直なことを言えば、
実におもしろくない、何もない駅である。
「のぞみ」が必ず止まる割にはとても小さな駅で、JRの在来線は通っていないので、乗り継ぎアクセスも悪い。
神戸市営地下鉄が通っているから、三宮(神戸市中心部)にはつながっているが(注:この乗り換えも不便である)、新神戸を拠点に他県に移動したりはできず、同じ新幹線の駅でも、京都や新大阪とは全然違っている。
駅構内の商業施設も充実しているとは言えないので、
駅に滞在して何か楽しいことがあるかというと、何もない。
新幹線に乗るときに、余裕を持って早めに着きすぎてしまったりすると、
時間つぶしの方法もなく、何もやることがなくなる。
というわけで、何も褒めるところがない。
……
……
…と、これで終わったら何のための記事か分からないので、
ここではひとつ、新神戸駅のおすすめポイントを書いておきたい。
早く着きすぎた場合の時間つぶしの方法としても使えると考えている。
それは、「布引の滝」である!
神戸の歴史ある観光スポット「布引の滝」
布引の滝は、神戸の観光スポットとしてよく挙げられる景勝地で、六甲山の麓にある複数の滝の総称である。
神戸市の観光公式サイトによれば、
…「日本の滝百選」に選ばれるほか、那智滝(和歌山県)、華厳滝(栃木県)と並び、「日本三大神滝」の一つとされる名瀑です。
という。
正直「日本三大○○」は言ったもん勝ちだろ感もあり、ピンとこないものも感じるが、
那智の滝や華厳の滝と並び称される存在だと聞けば、格式ある立派な滝だというイメージを持つだろう。
そんな場所に、新幹線の駅から徒歩わずか5分で行けるのだ!
新神戸駅は、六甲山の山肌に貼り付くように作られていて、駅のホームに上ると、背後はもう山道が見える。
「駅のすぐ裏手にある山の、山道をちょっと登ったところ」という感覚だ。
30分くらい待ち時間ができて手持ち無沙汰だという場合でも、
身軽な人なら一部ちょこっと見に行って帰ってこられる。
これも公式観光サイトからの引用であるが、
布引の滝は1つの滝ではなく、雄滝(おんたき)・雌滝(めんたき)・夫婦滝(めおとだき)・鼓ヶ滝(つつみがだき)の4つの滝の総称で、なかでも最も上流にある雄滝は高さ43mで、見ごたえ十分。最も近い雌滝までは、新神戸駅から北へ徒歩約5分、雄滝には約15分で到着します。
…そう!
駅から歩いて山を登っていくと、順番に複数の滝を見学できるようになっている。
だから、自分の持ち時間や都合にあわせて、
・一番近い(徒歩5分)雌滝だけ行って帰ってくる
・ハイキングを兼ねて山道を散歩しながら最上流の雄滝まで行く
など、複数のオプションが選べるのもいいところだ。
滝までの道は遊歩道が整備されており、ごく普通の街歩きの格好で問題ない。
途中には階段もあるのだが、雌滝までだけなら段差のない道なので、
キャリケースやベビーカーと一緒に行くことも可能だ。
(実際に私たちはキャリーケース+ベビーカーで訪問した)
最上流の雄滝まで行く場合でも、サクっと見るなら1時間程度で足りるだろう。
天気のよい日には、山の緑と豊かな水の流れによって、心地よい散歩を楽しむことができる。
複数の滝があるので、遊歩道を上っていきながら、
「次はどんな滝が出てくるかな?」と、それぞれの形の違いを楽しむのもよい。
以下、それぞれの滝を出来の悪い写真とともにご紹介。

駅徒歩5分の雌滝(めんたき)。
青紅葉に隠れて少し視界が遮られていた(2025年8月)。
ここを見るだけなら30分で十分。ベンチもあってゆっくりできる
段差のない道(上り坂ではあるが)なので、ベビーカー等でも行ける。

雌滝から階段を通って上流へ向かうと現れる鼓ヶ滝(つつみがだき)。
樹木に隠れて少し見えにくかった(写真だと分からないと思う…)。

さらに上っていくと、雄滝(おんたき)・夫婦滝(めおとだき)に到着する。
この2つは同じ場所にあり、上下に連結した2段の滝になっている。
写真は雄滝。堂々たる眺めだ。
ここもベンチがあって休憩できる。滝を眺めて一息つく人多数。
それから、ついでに下の写真。こちらは滝を訪問したときではなく、以前、ロープウェーに乗った際に上空から滝の様子を撮影した写真だ。上空から見ると、雄滝のダイナミックな景観がより一層際立つように思われる。

都人たちの行楽地
布引の滝は、平安の昔から貴族たちに好まれた景勝地であったらしい。
「伊勢物語」にも、主人公(在原業平)が兄(在原行平)とともに布引の滝を訪れ歌を詠んだという段があるそうだ。
風流を愛する都人たちが多数、滝を見に訪れたようで、
駅から続く遊歩道には、彼らが詠んだ布引の滝にまつわる歌を刻んだ歌碑(布引三十六歌碑)が点在している。
ちょこちょこ登場するこの歌碑を眺めながら歩くのが私には楽しかった。
何だかわけもなく雅な気持ちになれる。
例えばこんな歌。
新神戸駅から出発すると一番手で出てくるのが藤原定家の歌。
言わずと知れた小倉百人一首の選者である。
布引の 滝のしらいと なつくれば 絶えすぞ人の 山ぢたづぬる(藤原定家)
⇒この時代からたくさんの来訪者があったんだなということがこの歌からもわかる。
それにしても、定家にしては凡庸で、特になんの趣向もない歌だなと(失礼)。
雄滝、夫婦滝を望む橋のたもとには、在原行平・業平兄弟の歌。
伊勢物語に収録されているというのがこの歌らしい。
我世をば 今日か明日かと 待つ甲斐の 涙の滝と いつれ高けむ(在原行平)
⇒不遇の身を嘆く涙の滝と、この滝とどっちが高いのか。
行平は「わくらばに問う人あらば」の歌のせいか、なんかいつも不遇を嘆いているイメージ。
ぬきみだる 人こそあるらし 白たまの まなくもちるか そでの狭きに(在原業平)
⇒飛び散る滝のしずくを「緒を抜かれてバラバラに散る白玉」に見立てている。
ぱっと見、何言ってるか分かりにくいところが、業平らしいというべきなのか(←?)。
こんな感じで歌碑がたくさん並んでいるから、途中探しながら歩くのも一興である。
最後においしいおまけ
このようにして、王朝時代の風雅を想像しながら、気軽に散策して駅に戻ってくることができる。
神戸を訪れた行き帰り、新神戸駅でちょっと時間が余っちゃった!というときには、
ちょこっと足を伸ばしてみては。
…そうそう、最後にもうひとつ、散策のお供にとっておきのグルメがあるので、忘れずに紹介しておこう。
新神戸駅の売店に売っている「三宮一貫楼」の豚まん!
お土産にするための冷蔵持ち帰り品のほか、その場で食べられる暖かい豚まんも1個単位でテイクアウトできるのだ。
写真がなくて申し訳ないが、詳しくはこちらをご参照⇒三宮一貫楼新神戸アントレマルシェ店
タマネギの甘みが際立つ優しい味。ぜひおすすめする。



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